メイド・イン・カンダ −このまちで生まれる人・アート・建築へのまなざし
この度、3331 Arts Chiyodaでは、クロスジャンルの大型アートイベント「TRANS ARTS
TOKYO 2013」と連動し、メインギャラリー企画として「メイド・イン・カンダ」展を開催いたします。
都市のエネルギーと人情味あふれる暮らしが混ざり合うまち・神田。まちの人々が学んだ学舎を改修して生まれたアーツ千代田 3331 は、まさに「まち」の想いや記憶が宿った正真正銘「メイド・イン・カンダ」のアートセンターです。
今回の企画展では、自分たちが立つ場所を起点にまちへと飛び出し、東京、神田地域の現在に迫ります。
写真家・池田晶紀による神田っ子をモデルにした「神田っ子ポートレイト」プロジェクトや、同じく写真家・川瀬一絵と地元住民が発表する「神田路上観察 2013」では、神田の人やまちの佇まいをそのまますくいとります。また、韓国気鋭のアーティスト、スンウ・バクは神田で滞在制作し、都市の俯瞰図をコラージュする「Re-Establishing Shot(リ・エスタブリッシング・ショット)」シリーズの最新作を発表します。さらには、ユニークな発想と視点で建築界に新風を巻き起こし、著書「メイド・イン・トーキョー」(1996年)をもつ建築家ユニット、アトリエ・ワンの塚本由晴は、新たなチームを編成して「都市神田学/Urban Kandaology」を構想。今回はそのフィールドワークの第一回の報告・展示を行います。
路地のそこここで出会う人と風景のなかに歴史と文化の積み重ねがある街、神田。 そうした“カンダ”に魅了 されたアーティスト、写真家、建築家のまなざしから見えてくる、アートと地域の幸せな関係、カンダのもうひとつの魅力をお楽しみ頂けますと幸いです。
「神田っ子ポートレイトプロジェクト」は、2012年のTRANS ARTS TOKYO(会場:旧東京電機大学11号館)において、神田の様々な「人々」、そして彼らが生きる様々な「場」を、写真家・池田晶紀が「ポートレイト(肖像写真)」という形で記録するプロジェクトとして始まりました。登場するモデルは老舗そば屋のご主人、神田祭の有名人、古書店のご主人、お寿司屋さんから若いカフェのオーナーなど、神田にゆかりのある方々ばかりです。またモデルとなった方々の背景には、神田の名所がたくさん写っています。神田というまちに育まれ、そして神田において様々な営みをおこなうこれらの人々が、現在進行形の神田というまちを形づくり彩っています。そんな彼らを撮る池田は、「写っている人たちが“ここにいる”と言っているようなものになると良い」と言います。
ストレートに、そしてあっけらかんと普通に“ここにいる”姿。
ゆかいな仕草や表情をこちらに投げかけ“ここにいる”姿。
“ここにいる”ことが至上の誇りであると言わんばかりの姿。
人によってその姿は様々ですが、それらをポートレイトとしておさめることで、
彼らが“ここにいる”と言う声が聞こえるような、さらには“ここ”、つまり神田が浮かび上がってくるような写真となりました。これまでの作品に新作を加え、神田のエッセンスを凝縮したポートレイト50点を一堂に展示します。
どこかにありそうでどこでもない、不思議な都市のランドスケープ写真。スンウ・バクの「Re-Establishing Shot(リ・エスタブリッシング・ショット)」はさまざまな都市の風景をコラージュ=再構成することで、密集した建造物の集積が匿名都市のパノラマのように展開されているのが特徴です。
ソウルを拠点に活動するスンウ・バクは、2012年からこのシリーズにとりかかりました。今回は、彼が昔から憧憬の念を抱いてきたというまち・神田で滞在制作を行い、ソウル、釜山、大坂、神戸で撮影したものとあわせて最新作を発表いたします。
断片を繋ぎあわせてつくられた写真には、具体的な建造物が写っているにも関わらず、都市がもつ歴史的・社会的な意味や固有の背景が欠けており、私たちの記憶をあやふやにさせます。
作家の意図はこうした表層的な浮遊する都市のイメージをまえに、観るものの戸惑いとそれでも魅入ってしまうランドスケープについての想像力を喚起することにあります。
建築家ユニット、アトリエ・ワンと東京工業大学大学院 塚本由晴研究室 featuring 大佛俊泰研究室による、神田のまちのフィールドワーク。江戸時代から栄えた神田には、今でも至るところに歴史の痕跡を見出すことができます。
「都市神田学」では、100年(歴史、小説、地図)、50年(建築)、1日(ビッグデータ)、といった異なる時間的尺度をあてることで、神田をおおう時間のレイヤーを一枚づつめくっていきます。
展示では、神田の一角の模型に一日の人の動きのシミュレーション動画をプロジェクションする作品を中心に、神田にまつわる資料やドローイングを用い多角的にプレゼンテーションいたします。
アトリエ・ワンはかつて著書「メイド・イン・トーキョー」(1996年)で、様々な用途や利用条件から導きだされた風変わりで混沌としながらもある機能を果たしている東京という都市環境を形成している建築と環境を紹介しました。本展覧会は、その神田版を探求するために今年新たなチームで始動したこのフィールドワーク・プロジェクトの最初の報告・展示となります。
地元住民有志で編成されたチームと写真家・川瀬一絵が、神田地域のさまざまな日常や風景の写真を集めました。まちの出来事や生活を臨場感あふれる視点で切り取り、いつもの景色を新たな角度で観察した写真展となります。
『日々facebookに投稿される田畑さと子さんの日常の写真、渡辺美樹さんの約10年分の家族写真、メディアやツアーで神田のまちを発信してきた、たてやま西平さんによる街の記録。それらを自分の写真と共に洗い出し、構成します。神田を訪れた私の視点と、そこに暮らす人々のまなざしを紡ぎ合わせた、まちのすがたです。』― 川瀬一絵
TRANS ARTS TOKYO 2013
2012年秋東京電機大学旧校舎に約300人のアーティスト、一万人以上の来場者が集い話題を博したアートプロジェクト、『TRANS ARTS TOKYO』をスケールアップして今年も開催致します。3331 Arts Chiyoda、東京電機大学旧校舎跡地、WATERRASなど、神田エリアの複数の拠点からあらゆるジャンルの表現が同時多発的に立ち上がり、「東京」を象徴する大規模アート展。
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